今回の仕様変更で一番力を入れた所が、ボディとネックの仕込み角度でした。
豊かなサスティンを持つオリジナルを代表する59年モデルの仕込み角度は3度と言われていますがこの角度で生産した場合、現在の日本の気候や材質の経年変化による問題に一部の楽器は耐え切れず、メーカー保証が切れた後のユーザーさんの負担は大変な出費をさせてしまう危険があるという事が東海さんの生産技術の方から指摘があり、試行錯誤の結果、現在のTOKAI LPのネック仕込み角度4.5度から最終的に3.8度に変更されました。
僅かに0.7度の修正ですが生産組み立ての現場では仕込みや組み立ての手間に従来の楽器とは比較にならない技術、そして時間と緊張が必要との事でした。

確かに仕込み角度が浅い場合にはブリッジの可変範囲が狭まる為に、組み立て時に木部の仕込み角度の精度に問題が有った場合は、最終の組み立て時には大変な問題になってしまいます。

仮に仕込み角度が大きい場合には弦高を最終の組み立て時点でブリッジの上げ下げで調整出来るという利点がありますが、今回のLPの場合には仕込み角度が浅い為にボディとネックを接合した時点で弦高の殆ど全てが決まるという、製作スタッフには逃げる事の出来ない難しい仕事が課せられた訳です。

しかし、今回何故我々はここまで仕込み角度にこだわったのでしょうか。
それはエレキギターの音を決めるのはピックアップの性格が重要なファクターである事は間違いなく、そのピックアップもかなりの比率で弦を弾いた直接の音以外の微妙な木部からの振動を複合的に拾っているという事からです。
楽器に関心が深い方はよくご存知だと思いますが、同じブランドの同じエレキギターのモデルでも生の音が個体差によって非常に異なる事があります。今回の製作に当たってはLPギターの原音をピックアップが拾うまでの音を徹底的にオリジナルに近付けるという事を大きな目標にしました。
そしてその重要な点の一つはピックアップの位置でした。
オリジナルの再現に当たっては仕込み角度同様に、どの位置でピックアップに原音を拾わせるかという事はサウンドを決定する上でも大変大きな意味を持っており、今回この改善が出来た事は外見はもちろんですが、コストを考慮に入れても大変大きな成果でした。
この作業にはオリジナルを計測してザグリの位置を決定する事にしましたが、残念ながら当時の楽器は経年変化の影響からか、多少個体差がある為に平均的な位置を検討して割り出しましたが、写真でもお分かりになるように従来のTOKAIギターとは大いにピックアップの位置が異なる外見になっています。

このネック角度の変更とピックアップ位置の変更によって、オリジナルにより忠実な原音を拾う事が今回のLPの大きな改良点であります。
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